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2017年11月11日土曜日

インドのストリートハックから学ぶイノベーション|コペンハーゲンのデザインカンファレンスより

Rahul Sen, Spotify

1月ほど前に、コペンハーゲンのデザインカンファレンス「Design Matters」に行ってきました。そこでよかったスピーカープレゼンのハイライトをお届けしていきます。今回は、インドのストリートハックの話。

Design Matters:今年のテーマ3つ


今年のテーマは以下3つ。
・Embrace Failure(失敗を迎合せよ)
・Spreading Design DNA(デザインDNAの拡散=主にブランディング)
・Conversational UI (会話型UI)

特にEmbrace Failureはあらゆるプレゼンで触れられていて、色んなデザイナーの個人的、またはプロフェッショナル・プロジェクトレベルでの失敗とそこから何を学んだかということが聞けておもしろかった。

Embraice Failureの土台の話:Jugaad


カンファレンス全2日中、初日の冒頭に行われたSpotifyのデザイナーRahul Senさんのプレゼンは、「Embrace Failure」にハイレベルで触れたもの。そんな彼のプレゼンの中に登場した、「Jugaad」の話がおもしろかった。

Jugaadとは、ヒンドゥー語で「ストリートハック」のこと。
インドの人々は、コストをかけずスマートに状況をハックすることを「Jugaad」と言うのだそう。もともとインド出身、アメリカを経て現在スウェーデンのSpotifyでデザイナーをしているRahulさん。「いつも祖国に帰る度に、インドの人々にインスピレーションをもらう」と、発展途上国のインドでさまざまなリソースが足りない中、あらゆるところを工夫でカバーして生活する人々の話をしてくれた。

例えば、

鏡がなかったから、ラップトップのカメラを使ってひげそりをする男性。


古タイヤをプール代わりにして、夏の暑さを耐えしのぐ子どもたち。


壁に空いた穴を、その辺にあったウォータークーラーで埋めて「修理」した家。


ナイキを買うお金がなかったから、足に描いてみちゃった人。
(会場爆笑)

失敗は過程であり、結果ではない。そこからどうハックするか?


Jugaadから学べることは、望んでいるソリューションにいかに「早く、安く、労力をかけずに」到達できるかということ。デザイナーとして「こうありたい」というところまで磨き続けようと思えばいくらでも、お金も時間も投下できてしまう。でも、問題解決をするには可能なソリューションをできるだけ実験し、いかに早く失敗し、学びを得て次の段階にいけるかが大事だということを再認識させてくれました。

“Failure is simply the opportunity to begin again, this time more intelligently.” (Henry Ford, Inventor)
失敗とは単に、次回もっと知的に進められるようになるためのきっかけに過ぎない。(ヘンリー・フォード)

デザイン思考のコアとなるコンセプトは、Learn by Doing(やりながら学べ)
先進国の我々なら考えられないような不便の中で、壁にぶちあたっても「ハック」してしまうインドのJugaadは、まさにこれを象徴していました。

Rahulさんの全プレゼンビデオはこちら。Jugaad以外にも「Embrace Failure」のテーマをユーモアを交えながら話していてストーリーテリング的にも勉強になるので、おすすめです。

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